今年1月初めに米國ラスベガスで開催された世界最大の電子機器見本市「コンシューマーエレクトロニクスショー（CES）」で、中國の広東匯天航空航天科技有限公司（小鵬匯天）が開発した分離式の空飛ぶクルマ「陸地航母」が、初めて世界の舞臺に登場して注目され、來年から納入される予定だ。（文：張揚軍?清華大學(xué)車両運載學(xué)院教授、空飛ぶクルマ動力研究センター長）

未來の交通の無限の可能性を秘めた空飛ぶクルマは、今、夢から現(xiàn)実へ変わろうとしている。10年後には、空飛ぶクルマによってこれまで1-2時間かかっていた通勤時間が10-20分に短縮され、都市に住む人々は渋滯に悩まされることがなくなるだろう。

今では、空飛ぶクルマの定義がより具體的になっている。狹義の空飛ぶクルマは地上を走行し、空中も飛行できる陸空両用車を指し、広義の空飛ぶクルマは大量輸送用の電動垂直離著陸機（eVTOL）を含む。

2024年9月25日、浙江省杭州市で開催されたグローバルデジタル貿(mào)易博覧會で、ティルトローターを採用した「空飛ぶクルマ」のティルトローター電動垂直離著陸機（eVTOL）「AE200」を眺める來場者。（撮影?龍?。?/span>

2024年に中國汽車工程學(xué)會（China-SAE）が発表した中國初の空飛ぶクルマに関する研究報告書「空飛ぶクルマ発展白書1.0」によると、21世紀の電動スマートカーの発展が、電動スマート航空の発展に著実な産業(yè)の基礎(chǔ)を固めた。eVTOLは広義の空飛ぶクルマとして、航空機?自動車の電動スマート技術(shù)と産業(yè)チェーンとの融合を通じ、地上を走る自動車のように大量輸送用の交通手段になるものと期待され、広義の空飛ぶクルマの概念が業(yè)界のコンセンサスとなった。

未來に目を向けると、空飛ぶクルマは今、私たちのもとへ「飛來している」。同白書によれば、空飛ぶクルマはこれから3つの発展段階をたどる。まず2025年からの商用飛行がスタートする1.0の段階で、物を積んだeVTOLが商用化をスタートし、人を乗せたeVTOLが特定のシーンで実証応用をスタートする。次は2035年頃からのスマート化が加速する2.0の段階で、スマートeVTOLの空飛ぶクルマの大規(guī)模な応用が加速し、低空域の移動における主要な交通手段になる。そして2050年頃からの立體的な普及へと進む3.0の段階で、陸空両用の空飛ぶクルマの大量輸送の応用が実現(xiàn)し、低空域交通と地上交通が深く融合し、3次元的で立體的なスマート交通システムが構(gòu)築される。

2024年5月3日、北京モーターショーで、小鵬匯天の陸空一體型の空飛ぶクルマを眺める來場者。（撮影?唐克、寫真提供は人民図片）

世界に目を向けると、多くの國が空飛ぶクルマのイノベーション応用ペースを加速させており、その発展の道筋は主に3つある。1つ目は、機械航空から電動スマート航空への前進だ。米國のジョビー?アビエーション、歐州のエアバス、中國の上海峰飛航空科技有限公司（峰飛航空）、沃飛長空（成都）有限公司（沃飛長空）、追夢空天科技（蘇州）有限公司（追夢空天）などの企業(yè)は、従來の航空機の設(shè)計の経験と技術(shù)による優(yōu)位性に基づいて空飛ぶクルマを発展させる。2つ目は、電動スマート自動車から電動スマート航空への拡大だ?？诊wぶクルマの産業(yè)チェーンの約85％は電動スマート自動車と関連があり、電動スマート自動車の発展は空飛ぶクルマのためのしっかりした産業(yè)チェーンの基礎(chǔ)を固めた。たとえば、小鵬匯天と広州汽車集団は電動スマート自動車産業(yè)チェーンでの優(yōu)位性を利用し空飛ぶクルマの開発を加速させている。3つ目は、マルチロータードローンから電動スマート航空への進出だ。マルチロータードローンの発展は電動スマート航空のためのある程度の飛行制御技術(shù)の基礎(chǔ)を固めた。中國の広州億航智能技術(shù)有限公司やイスラエルのエロボテックスなどが、早くからマルチロータードローンを発展させてきたとの優(yōu)位性に基づき、空飛ぶクルマの開発に向けて歩みを進めている。

米國ジョビー?アビエーションは2025年內(nèi)に都市部の空の交通におけるeVTOLの商用化を?qū)g現(xiàn)させる計畫だ。エアバスは従來の航空分野での技術(shù)の蓄積とグローバル市場での事業(yè)展開を利用し、「次世代の都市のエアバス」プロジェクトを打ち出し、2024年には開発した全電動航空機を発表して初飛行を成功させた。このことは従來型航空會社が電動スマート航空へと前進する上での重要な一歩となった。中國には世界トップクラスのスマートカーとマルチロータードローンの技術(shù)および産業(yè)チェーンという優(yōu)位性が備わり、空飛ぶクルマの開発と製造に著実な基礎(chǔ)を提供している。たとえば重慶長安汽車股份有限公司（長安汽車）と億航智能の業(yè)界の枠を超えた協(xié)力は、自動車とマルチロータードローン技術(shù)の有機的な融合を?qū)g現(xiàn)し、空飛ぶクルマの発展へ新たなアプローチと活力をもたらした。

低空域交通は新エネルギー、人工知能（AI）、ビッグデータ、5G通信などの新技術(shù)の応用の主な擔(dān)い手とシーンであり、「低空経済」（低空域飛行活動による経済形態(tài)）の発展における戦略的方向性であり、グローバル経済と世界の発展構(gòu)造を再構(gòu)築するものとなる。現(xiàn)在、「低空経済」活動の主な擔(dān)い手はドローンや空飛ぶクルマといった低空域を飛行する航空機だ。その中で、コンシューマードローン、産業(yè)用ドローン、交通手段としての空飛ぶクルマの「低空経済」への寄與は、それぞれ地上経済を牽引する自転車、バイク、車の牽引の役割に似ている?，F(xiàn)在、ドローンは「低空経済」で主導(dǎo)的な位置を占めており、すでにコンシューマー向けのレジャー娯楽用ツールから、電力網(wǎng)の點検、農(nóng)林業(yè)の植物保護など産業(yè)用ツールへと変化している。今後は、空飛ぶクルマの普及応用が、人類社會の立體的交通の新時代を牽引するようになり、1兆元（1元は約20.7円）レベルの「低空経済」のブルーオーシャンで新たな競爭分野を切り開くことだろう。（編集KS）

「人民網(wǎng)日本語版」2025年2月7日