陳さんが一人で火鍋のチェーン店に入ると、スタッフらが大歓迎し、テーブルの向かい側(cè)には、ミッキーマウスのぬいぐるみが座っていた。このサービスに、陳さんは、店側(cè)の優(yōu)しい対応に感激し、思わず笑みがこぼれた。中國(guó)の都市では現(xiàn)在、獨(dú)身の男女が増えており、各店や企業(yè)なども、獨(dú)身の人のライフスタイルに合わせた斬新な商品やサービスを編み出している。日に日に激化する市場(chǎng)の競(jìng)爭(zhēng)において、「お一人様経済」が現(xiàn)在、多くの店、企業(yè)が照準(zhǔn)を絞るビッグビジネスとなっている。人民日?qǐng)?bào)海外版が報(bào)じた。

獨(dú)身男女のニーズ発掘

陳さんは、「テーブルの前にミッキーマウスのぬいぐるみを置いてくれるという優(yōu)しい対応に、うれしい気持ちになるが、周りの人に獨(dú)身であることに気付かれ、ちょっと恥ずかしい」と話した。

一方で、「一人で食事してもつまらない。でも、ミッキーマウスを置いてもらえると、楽しいし、孤獨(dú)感も解消できる。このサービスは親切で、とてもいい」という意見(jiàn)のネットユーザーもいる。いろんな見(jiàn)方があるものの、店や企業(yè)が「獨(dú)身」のニーズに注目しているのは紛れもない事実だ。

數(shù)年前なら企業(yè)のマーケティングというと、「二つ目半額」、「複數(shù)の場(chǎng)合一人無(wú)料」などだった。一方、今はというと、「お一人様用セット」、「セルフカラオケ」、「セルフジム」など、一人の人をターゲットにした商品、サービスが流行している。各大手ショッピングサイトも、小型の炊飯器、オーブン、ポット、冷蔵庫(kù)などを販売するようになっており、宣伝文句も「家庭用」、「お得ファミリーセット」などではなく、「獨(dú)身の必須アイテム」、「獨(dú)身にはこれ」などに変わっている。

このような店や企業(yè)の「イノベーション」に対応しているのは、ファッションや生活の達(dá)人たちが行っている、獨(dú)身の人を?qū)澫螭摔筏肯M(fèi)の促進(jìn)だ。グルメや旅行、家具などに関するサイトやソーシャルメディアのアカウントなどでも、「一人でレストランで食事」、「一人旅でいい所へ行こう」、「一人暮らしを楽しむインテリア」などの宣伝文句が増えてきている。どれもが、獨(dú)身の人の好みやニーズに合わせたマーケティングを行っている。

拡大する「お一人様経済」

実際、ここ數(shù)年、中國(guó)では獨(dú)身の男女が増加の一途をたどっている。中國(guó)民政部（?。─谓y(tǒng)計(jì)によると、中國(guó)大陸部の未婚の男女の數(shù)は、2015年末の時(shí)點(diǎn)で2億人に達(dá)した。コンサルティング會(huì)社?ユーロモニターがまとめた政府の統(tǒng)計(jì)によると、12年以降、中國(guó)の未婚の男女が16％増加し、7700萬(wàn)人に達(dá)している。21年までに、その數(shù)は9200萬(wàn)人まで増加すると見(jiàn)込まれている。上海では、11年に27歳だった女性の初婚の平均年齢が30歳になっている。

獨(dú)身や一人暮らしの結(jié)婚適齢期の男女の増加は、経済が発展した都市ではさらに際立っている。多くの専門(mén)家は、中國(guó)の人口の男女比率が不均衡、女性がより高い教育を受けるようになっている、結(jié)婚相手により高い経済力を求めるようになっているということなどが原因と分析している。取材では、結(jié)婚しない人にもいろんな理由があることが分かった。例えば、「毎日仕事が忙しく、戀愛(ài)する時(shí)間が全然ない」、「家庭を築く準(zhǔn)備がまだできていない」、「獨(dú)身のほうが、自分の好きなことをする時(shí)間がたくさんあり、自由で気楽」などだ。

現(xiàn)在の社會(huì)も、獨(dú)身の男女によりやさしい環(huán)境となっている。ボストンコンサルティングが最近公表したレポートは、「人々の獨(dú)身の男女に対する見(jiàn)方が大きく変わるにつれ、『獨(dú)身』という言葉に否定的な意味はなくなってきている。つまり、獨(dú)身の人も、一人で食事をし、一人で旅行し、一人でいろんな活動(dòng)に參加できるということ」と指摘している。

ある獨(dú)身の人は取材に対して、「獨(dú)身の人をターゲットにしたサービスがなければ、私の生活は不便になる。『お一人様経済』によって、獨(dú)身の人と店?企業(yè)が『ウィンウィンの関係』になれる」と話した。例えば、昨年一年、デリバリー業(yè)の売上高は44％増となった。デリバリープラットフォーム「Eleme」の広報(bào)は、「今年上半期の売上高が127％増となった。その理由は、自分だけのために料理をする人はほとんどいないから」とした。

獨(dú)身男女の特徴に合わせたマーケティングを

獨(dú)身の人のニーズには、どんな特徴があるのだろう？英國(guó)の市場(chǎng)調(diào)査會(huì)社?ミンテルの最新レポート「獨(dú)身消費(fèi)者をターゲットにしたマーケティング——中國(guó)2017」によると、最も関心ある分野について、獨(dú)身消費(fèi)者の6割(61％)が「映畫(huà)、ドラマ」と答え、以下、旅行(56％)、運(yùn)動(dòng)?トレーニング(48％)と続いた。

旅行サイト?攜程網(wǎng)が発表した「2016一人旅報(bào)告」によると、中國(guó)で、一人旅に出かける人の數(shù)が旅行に出かける人全體に占める割合は、14年の8.3％から16年には15％までに上昇。うち、女性が6割を占め、その多くが19-30歳だった。

「獨(dú)身の人には、いつも自由に使えるお金がたくさんあり、自分の好きなことのためにお金を使う」ものだ。世界経済フォーラムの統(tǒng)計(jì)によると、35歳以下の中流階級(jí)の消費(fèi)者がさまざまな商品を購(gòu)入するための支出は、同等の所得のある一つ上の世代の消費(fèi)者より40％多い。

ミンテルでライフスタイルを分析している馬子淳さんは、「中國(guó)のほとんどの獨(dú)身消費(fèi)者は孤獨(dú)ではない。それらの人は多趣味で、流行を追いかけており、斬新で刺激的な體験を重視している。また、旅行や娯楽商品(映畫(huà)、ドラマなど)に対する関心も高まってきている。店?企業(yè)は、イメージや気品を向上させたり、五感を楽しませる商品?サービスを開(kāi)発するといい」と分析している。（編集KN）

「人民網(wǎng)日本語(yǔ)版」2017年9月8日