纐纈厚氏「一刻も早い高市首相の発言撤回と謝罪が唯一の解決策」
高市首相の発言が中國政府と中國國民を激怒させている。激怒する理由を殘念ながら高市首相自身も日本政府も、また日本國民も充分に理解していない。(文:纐纈厚?山口大學名譽教授。人民日報掲載)
高市首相の発言が、何よりも國際法や國連憲章に違反して、中國の國內(nèi)問題に介入していることだ。額面通りに解釈すると、「日中共同聲明」に示された「一つの中國」という大原則と日中関係の基礎(chǔ)を否定するに等しい內(nèi)容なのである。中國側(cè)から高市首相の発言について批判したのも肯ける。日本政府は、中國が既存の秩序を変更する試みを果敢に行っている、と批判する。だが、現(xiàn)実には既存の秩序を変更しようとしているのは日本政府である。
日本政府は、あらためて「日中共同聲明」の內(nèi)容と、日中國交回復(fù)前後において、當時に內(nèi)閣が鮮明にしていた「一つの中國論」の持つ最重要性の意味を確認すべきであろう。注意すべきなのは、高市発言を擁護する人たちや勢力は、中國の反発や批判、そして対日カードに、ここぞとばかりに中國悪玉論で盛り上がっていることだ。極めて単純かつ危険な論理で、中日間で取り交わした「四文書」を否定する。中國の高圧的態(tài)度が癪に障る、と言ったものも多い。この反応は稚拙過ぎる。右傾化が進行する現(xiàn)在の日本の政治思潮において、この勢いが高市発言を呼び込んだともいえる。
11月21日、木原稔官房長官は記者會見で、「誤解を招くようなことがあれば、今後は極めて慎重に対応しなければならない」とまで踏み込んだ発言を行った。事実上、高市発言の不適切性を認めたのである。だが、ことの重大性から鑑みれば、さらに踏み込んで発言の撤回と謝罪が不可欠でり、誤解や不適切性の表現(xiàn)では、中國に誠意を見せたことにはならない。
「存立危機事態(tài)」という言葉は、最初は「事態(tài)対処法」として法制化され、2015年に國會が強行採択した新安保法制に組み込まれたものである。平和憲法の実踐を通して平和國家日本を訴え続けることで、先の侵略國家日本の汚名を清算することが求まられていながら、逆行する動きが近年顕在化していることは、極めて遺憾なことである。相手國への先制攻撃を明言する安保三文書は、その意味で憲法違反の文書である。高市首相の敢えて言えば「妄言」が、日中信頼関係を破壊している?!竾覈瘠蚴丐搿工壤Rり返してきた首相が、自ら「國家國民」の安全を酷く毀損してしまったのである。それは政治外交領(lǐng)域に留まらず、観光、貿(mào)易、教育など諸領(lǐng)域に拡がっている。
高市首相が外交防衛(wèi)政策については、基本的な知識を欠いていることも露呈された格好だ。日本外交のレベルの低さを中國を含め、國際社會に発信してしまったと言える。さらに問題は首相周辺の人々が、首相の大失態(tài)を糊塗するかのように、懸命にフォローしていることだ。高市首相が、自民黨內(nèi)外のタカ派、軍國主義者の厚い支持を背景にしており、それに迎合する発言や行動を繰り返す可能性は當初から危懼されていた。その危懼は早くも現(xiàn)実のものとなった。
殘念ながら日中関係は、臺灣を巡る高市早苗首相の発言を機に悪化の一途をたどることになろう。ここに至っては、一刻も早い高市首相の発言撤回と謝罪が、唯一の解決策である。日中関係の安定と友好関係の強化こそが、日本にとって最大の安全保障政策なのだから。
「人民網(wǎng)日本語版」2025年12月9日
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