都市での生活はテンポが速く、様々なプレッシャーやイライラがいつの間にか人々の心身の健康に影響を與え、蝕んでいく。なかには消費(fèi)者のストレス解消や発散の需要に目をつけ、それらを謳い文句にした商品やサービスを提供している事業(yè)者もある。こうして「癒し経済」が誕生した。

「癒し系」旅行、サービスが増加の一途

「癒し系」とは、「他の人に落ち著きや癒し、心地よさを感じさせる人」という意味で、流行語(yǔ)になってからというもの人だけでなく、場(chǎng)所や行為、物を形容する際にも用いられるようになった。総じていうと、どんな物にも「癒し」を感じさせる要素は含まれていると言える。

消費(fèi)水準(zhǔn)が向上するにつれ、消費(fèi)者のストレス解消、発散の需要に目をつける事業(yè)者が一層増え、より的を絞った「癒し系」サービスや商品が提供されるようになっている。

韓國(guó)ソウルの賑やかな江南區(qū)には3階建ての靜かなムード漂うレストランがあり、シェフと薬膳調(diào)理師が共同で開(kāi)発したヘルシー料理が提供されている。レストランの1階はレストランと調(diào)理エリアからなり、2階は風(fēng)景を眺めることができる喫茶スペース。精神的なトラブルを抱えている場(chǎng)合は3階のクリニックで薬膳専門の醫(yī)師のサポートを受けることができる。また、ソウルの多くの飲食店は、植物を活用して人々に「癒し」を提供している。例えば、大學(xué)近くにあるにぎやかな商店街には「癒し」をテーマにしたカフェがあり、季節(jié)に合わせて、店內(nèi)外に香りの良い旬の草花が飾られている?？亭?、4種類の植物から作ったお茶を飲みながら、ゆったりとした時(shí)間を過(guò)ごすことができるほか、店內(nèi)に飾られている花や盆栽を購(gòu)入することもできる。

中國(guó)でも、いろんな「癒し系」商品、サービスがあり、「癒し経済」に合わせてその形態(tài)も変化している。例えば、ヨガやスポーツジム、瞑想などのストレス解消活動(dòng)のほか、表情パッケージや問(wèn)答茶（Answer Tea）、ポップアップ?ストアなども登場(chǎng)し、新しい需要が発掘されるたびに、「癒し」がさらに商業(yè)化、さらにはファーストフード化している。

例えば、以前はマニアックなイメージが強(qiáng)かった「瞑想」は、今ではマッサージや絵畫などと同じく、誰(shuí)でも興味があれば參加できる教室となっている。そして、瞑想教室や瞑想センターを開(kāi)設(shè)した施設(shè)が多く登場(chǎng)し、消費(fèi)者は100元（1元は約16.6円）ほどでそれを體験することができる。こうした體験を通じて「新しい世界の扉が開(kāi)いた」という人もおり、好評(píng)を博している。

旅行の分野を見(jiàn)ても、「癒し系」商品が増え、主流の一つになっている。

旅行プラットホームや旅行會(huì)社では、「癒し」をテーマにした旅行が人気になっている。例えば、旅行サイト?攜程（Ctrip)によると、近年、旅行を通して癒しを感じたり、ストレスを解消したりするというのが多くの人の旅行の主な目的になっている。今年3月から4月を例に挙げると、天気が暖かくなるにつれ、長(zhǎng)江以南の地域は花見(jiàn)シーズンを迎えている。雲(yún)南省や広西チワン族自治區(qū)などの多くの地域では菜の花やモモ、サクラなどが次々に見(jiàn)ごろを迎え、心を癒してくれる「花見(jiàn)」が人気となっている。

攜程の関係責(zé)任者によると、「このほかにも快適な環(huán)境で、空気がきれいな場(chǎng)所に旅行に行くというのも、多くの人がストレスを解消する方法の一つになっている。昨年の統(tǒng)計(jì)を見(jiàn)ると、景寧、霍山、多倫、金秀、留■（■は土へんに貝）を訪れた旅行者數(shù)は倍以上増加した」という。

旅行會(huì)社の北京凱撒旅遊によると、數(shù)年前から、癒し系旅行商品の開(kāi)発に取り組んでおり、日本の瞑想、バリ島のヨガ、インドのヨガ?瞑想など、オリジナル性の高い商品を打ち出してきた。その目的は、テンポの速い都市で長(zhǎng)期間生活している人々に、雑音が多く複雑な人間関係からひと時(shí)離れ、リラックスして、心を癒してもらうためだ。

アイガモ2羽が20萬(wàn)円以上？想像を超えた盛り上がりを見(jiàn)せるペット経済

特定の活動(dòng)や場(chǎng)所のほか、ペットも「癒し」を與えてくれる存在だ。近年、ペット経済の規(guī)模が拡大するにつれ、ペット関連のサービスや消費(fèi)もグレードアップしている。

ECプラットホームを見(jiàn)てみると、多くの業(yè)者がアイガモを売っており、1羽當(dāng)たりの価格が1萬(wàn)5000元～2萬(wàn)元のものもある。「ネット上で人気のアイガモと同じ種類」という謳い文句を掲げている業(yè)者では、生まれて1ヶ月のカモのヒナが1200元、大きくなったカモは1萬(wàn)5000元で販売されている。孵化可能なカモの卵は500元で、実際に孵化しなかった場(chǎng)合でも保証の対象とはならないという。

ある店主は取材に対して、販売しているのは輸入したカモであるため、コストが高いと説明した。アイガモがネット上で人気になり、ネットショップでの取引額は1日當(dāng)たり平均約10萬(wàn)元に達(dá)している。

アイガモのほか、オウム、ハリネズミ、アライグマ、パンダなどもネット上で人気の動(dòng)物だ。95後（1995－99年生まれ）の女性?雲(yún)雲(yún)さん(仮名)は取材に対して、「ペットを飼っているブロガーの投稿に注目している。動(dòng)物の畫像や動(dòng)畫を見(jiàn)て、『エアーペット飼育』を楽しんでいる。かわいい動(dòng)畫を見(jiàn)ている時(shí)は、頭を空っぽにすることができ、プレッシャーから解き放たれる。心を癒すとてもいい方法。動(dòng)畫や畫像をいつも見(jiàn)ていると、自分でもペットを飼いたいと思うようになった。マイホームを購(gòu)入したら、飼うことを考えるかもしれない」と話す。

狗民網(wǎng)が発表した「2018年中國(guó)ペット業(yè)界白書」によると、18年、中國(guó)のペット(イヌ?ネコ)消費(fèi)市場(chǎng)の規(guī)模は前年比27％増の1708億に達(dá)した。

統(tǒng)計(jì)を見(jiàn)ると、ペットを飼っている人の多くが若者で、その消費(fèi)レベルはやや高く、ペットに喜んで金を使うだけでなく、そうできる経済力も備えていることが分かる。なかでも、一、二線都市のペットの飼い主はその傾向がさらに強(qiáng)い。報(bào)告を見(jiàn)ると、エサや健康用品、グッズ、病院の消費(fèi)を合わせると、イヌの飼い主は年間平均9898元を使い、ネコの飼い主は平均1萬(wàn)78.5元を使っている。

「癒し経済」の背後にあるのは「孤獨(dú)経済」？

「癒し経済」が成長(zhǎng)し、日に日にその規(guī)模が拡大している原因は何なのだろう？あるアナリストは、「消費(fèi)能力の向上のほか、都市に住む獨(dú)身者が増加しているのもその理由の一つかもしれない」と分析する。

國(guó)金証券研究所は、「孤獨(dú)やイライラを感じている95後が多い?，F(xiàn)在、中國(guó)全土の95後-05後（2005‐09年生まれ）は合わせて2億6400萬(wàn)人と、総人口の18.9％を占めている。彼らはいわゆるモバイルインターネットの原住民であり、物質(zhì)的に豊かな時(shí)代に育った。そして、目新しいものを喜んで受け入れる。しかし、孤獨(dú)やイライラを持続的に感じている」と分析する。

獨(dú)身の男女や一人暮らしの若者が増加するにつれ、「孤獨(dú)経済」の商業(yè)価値も上昇中だ。

ある學(xué)者は、「『孤獨(dú)経済』は、人々の孤獨(dú)な狀態(tài)を反映しているというよりは、消費(fèi)観念の変化を反映していると言ったほうがいい。消費(fèi)が高度化し、需要が多元化するにつれて、そのような消費(fèi)や體験が少しずつトレンドになるだろう」と予想する。艾媒諮詢（iiMedia Research）のアナリストの劉傑豪氏も、「一人暮らしの青年の消費(fèi)スタイルを見(jiàn)ると、商品の質(zhì)やオリジナル性を重視している」と分析する。

「孤獨(dú)経済」が「癒し経済」の成長(zhǎng)を刺激しているという見(jiàn)方に対して、ネットユーザーからはさまざまな意見(jiàn)が寄せられている?！袱长欷蠘I(yè)者が作り出したムードで、『孤獨(dú)』に注目させてお金を稼いでいる」という見(jiàn)方もあれば、「『癒し経済』は、テンポの速い生活におけるオアシスの一つになることができ、多様化する新消費(fèi)の代表だ」という見(jiàn)方もある。（編集KN）

「人民網(wǎng)日本語(yǔ)版」2019年4月11日