ここ數(shù)年ますます勢いを増す人工知能（AI）。AIは人々の暮らしを便利に豊かにしていくだけでなく、様々な面にも影響を與え始めている。そんなAI時代における外國語教育とその課題について、卒業(yè)論文の作成を中心に北京第二外國語大學(xué)の津田量氏が分析した。

1．AI時代の外國語教育における卒業(yè)論文とは一體何なのか。

近年AIの急速な進(jìn)展?発達(dá)に伴い世の中の様々な産業(yè)に大きな変化が生じ始めてきている。AIとはartificial intelligenceの略で、人工知能を指し、「計(jì)算機(jī)（コンピュータ）による知的な情報(bào)処理システムの設(shè)計(jì)や実現(xiàn)に関する研究分野」を指す。今までは、AIは便利な機(jī)械ということで、辭書や道具の延長線上、つまりある種の単純作業(yè)の代替をしてくれる存在であったが、今後は人間を人間たらしめていた頭脳作業(yè)の領(lǐng)域にまで代替作業(yè)が可能になってくる。更には、人間の頭脳を超えるのも時間の問題だと言われている?，F(xiàn)在既にAI時代の幕が開けており、今後、好むと好まざるとに関わらず、一年一年?duì)顩rが激変していく空前の時代に入っていく。そんな時代の卒業(yè)論文とはいかにあるべきか、明確な答えはまだないし、答えを出しても、直ぐに前提となる前提や條件が技術(shù)の進(jìn)歩により変化してしまう。従って、その時代その時代に、常に変化に対応して卒業(yè)論文作成を外國語教育の中に如何に位置付けるかを問い直し続けていかなければならない。本文は2018年4月時點(diǎn)においての一考察である。

2．卒業(yè)論文とは何なのか。

卒業(yè)論文を論じる前に、大學(xué)教育、特に外國語教育における卒業(yè)論文とは何なのか、その意義と位置づけを明確にしておかねばならない。卒業(yè)論文は多くの大學(xué)の外國語學(xué)科で卒業(yè)のための必須要件となっている重要なものとして位置づけられているが、その意義については、小野寺(2004)が「卒業(yè)論文作成は卒業(yè)要件の一つであるが、その意義について言及されることは少ない?！工仁訾伽客à?、先行研究では殆ど述べられていない。そこで、卒業(yè)論文の意義についてまずは簡単にまとめてみたい。小野寺(2012)は、卒業(yè)論文の意義を「學(xué)業(yè)の集大成というべき課業(yè)であり、受動的になり勝ちな外國語教育においては、學(xué)生が能動的に、學(xué)問に取り組むことの出來る唯一の機(jī)會である。」としている。日本の大學(xué)や教員の考え方としては、児玉（2013）が「疑問や問題意識を，大學(xué)四年間で學(xué)んできた知識や経験を活用することにより明らかにしてゆく過程は，學(xué)生生活の集大成として大きな意義のある」としているように、「依然として日本の多くの大學(xué)では、大學(xué)教育の一環(huán)または大學(xué)生活の集大成として、4年次に卒論の執(zhí)筆を?qū)毪筏皮い搿工韦扦ⅳ搿?/p>

中國の大學(xué)の日本語教學(xué)においても、「卒業(yè)論文は學(xué)生にとって大學(xué)で四年間勉強(qiáng)した學(xué)習(xí)成果の締めくくりであり、大學(xué)院生志望、研究者志望の學(xué)生にとっては特に重要なスタートである」（宿2004）とし、「卒業(yè)論文は、大學(xué)勉學(xué)の総決算であり、また新しい學(xué)問への再出発點(diǎn)、社會に出る第一歩あるいは踏み臺でもある?！梗ǜ?004）としている。また、王健宜は「卒業(yè)論文は大學(xué)教育の有様を如実に反映するバロメータであり、學(xué)生にとっては大學(xué)生活の集大成的な創(chuàng)作とも言える?！梗ㄍ?004）と述べ、譚晶華も「4年間培った最終段階の卒業(yè)論文の作成は、実のところ、各校の人材養(yǎng)成の結(jié)果に対する検査である」（譚2012）と述べている。以上から分かる通り、卒業(yè)論文は大學(xué)生活の総決算?まとめということで殆ど全ての識者の見解は一致している。

では、その具體的な內(nèi)容はどのようなものであろうか。卒業(yè)論文とは何かについて、大島堅(jiān)一（2015）は、卒業(yè)論文とは「①オリジナリティー（獨(dú)創(chuàng)性）と②論理性、③論文としての形式」の3つの要素が満たされた論文であるとする。外國語専攻においても論文である以上これには変わりはないが、日本語専攻として、日本語力は目的に入っているのであろうか。小野寺(2004)は「日本語を読み話せることが究極の目的ではなく、①論理的思考回路の構(gòu)築と、②豊かな感性を育むことが追求すべき課題」であるとし、では、何のために卒業(yè)論文を書くのかという問題に対して、王健宜（2007）は「日本語の能力を高めるためでもなければ、知識を系統(tǒng)化させるためでもない。日本語による思考の回路を獨(dú)自に構(gòu)築するため」としており、主眼は日本語能力の向上にはあらずとしている。

これらは、楊秀娥（2013）が「大學(xué)日本語専攻における卒業(yè)論文作成への指導(dǎo)教員の意味付け」で、中國の日本語學(xué)科教員へのインタビュー調(diào)査の結(jié)果、卒業(yè)論文の目的について、30代の経験の淺い教員たちは「日本語能力」「論文の書き方」「資料収集」などの表面的なものを目標(biāo)としていたのに対し、経験豊富な40代以上の教員たちは「問題を分析?解決する能力」「研究は主な目的ではない」「學(xué)んだ知識を総合的に運(yùn)用する能力」「総合的な能力（情報(bào)の収集?分析?整理?調(diào)査する研究能力や、一定の書式で、外國語で意図を伝えられる能力」であったとしている調(diào)査結(jié)果と一致している。

學(xué)生にとっての卒論の役割を、鈴木滋は「従來の受け身の教育から、自ら資料を探し、自ら考え、自ら文章を書くことによって、自主的に思考する経験が得られることである。（中略）自信にもつながる?！埂袱ⅳ胩囟à违譬`マに関する知識が得られること」「長い文章を書くことによって、日本語の文章能力が身につくこと」の三つであると言い、その結(jié)果として、児玉（2013）は「學(xué)生にとって卒業(yè)論文作成とは、それに直接関わる各々の作業(yè)を?qū)Wぶだけでなく、研究の実施が思うように進(jìn)まない時にもゼミの仲間や指導(dǎo)教員とやり取りを行いながら學(xué)びを深め、達(dá)成感を得て自己成長を?qū)g感できるもの」としており、達(dá)成感や自己成長を?qū)g感できるという面を明らかにしている。

これらをまとめると、卒業(yè)論文の意義は、大學(xué)4年間で學(xué)んだことの総決算であり、學(xué)生が能動的に取り組むものであるといえ、學(xué)生の科學(xué)精神や、新しいものを創(chuàng)造する能力、特に問題を分析して解決する能力を育てることにあるとする。