寫真提供:佐渡多真子さん
■その後の人生を変えた深センで見た光景
―――― プロのカメラマンとして忙しい日々を送っていた佐渡さんが中國に興味を持たれたのは、何がきっかけなのでしょうか?
私には華僑の友人がいて、93年に香港に遊びに行ったときに、「ここから船で1時間で深センに行けるから、行ってみたら?行ったらきっと印象が変わるよ」と勧められたんです。でも、その頃の私は中國に対して「暗くて遅れた國」というイメージを持っていて、人々は人民服を著てるんだろうなと思ってました。でも、実際に行ってみると、當(dāng)時経済特區(qū)として開発された深センには高層ビルが立ち並ぶ近未來都市のような街が広がっていました。発展途上の街が持つエネルギーのうねりみたいなものを感じて、噓、なんだこれ?って呆然とすると同時に、なぜこんなにも自分が中國に対して抱いていたイメージが違ったんだろうということに衝撃を受けました。
それまでも16カ國ぐらいの様々な國に旅行や取材に行っていて、例えばヨーロッパやアメリカとかへ行っても、想像していたよりも規(guī)模が違うことはあっても、そのベクトルが違ったということはありませんでした。でも、中國の場合は、こう思っていたら、まるで違う方向へ行っていたというぐらいの差がありました。私は新聞を読むのが好きで、ちゃんと情報が入っているはずなのに、どうして中國だけはこんなにイメージが違っていたんだろうというのがすごく不思議に思えました。その時に、この國はちゃんと自分の目で見ないと駄目だなと思ったことを覚えています。
あと、今でもよく覚えているのは、ランドマークタワーに上って私がびっくりしてその街の光景を眺めているときに、隣にいた華僑の友人が、「今まではずっと白人が黃色人種を雇う時代だったけど、これからは黃色人種である中國が白人を雇う時代になる。そうやってアジアは発展していく」と言ったんです。そのときは、まさか?と思いながら聞いてました。
これをきっかけに中國に関する本を読んでみたり、中國に関心を持つ中で、仕事でも中國語圏から色んな監(jiān)督や俳優(yōu)が來日されて、皆さんの口からこれからは中國の時代だという言葉を聞くうちに、これは真剣に一度ちゃんと自分の目で見なきゃないけないと思ったことがきっかけです。この93年の深セン訪問から中國に対する思いや見方がぐっと変わりましたね。今思えば、あそこで深センに行ってなければ、私はその後中國に來ていなかったかもしれないし、まったく違う人生を歩んでいたかもしれないです。そのぐらい大きな衝撃でした。
―――― それで実際に中國に短期留學(xué)されたんですね。実際に自分の目で見た中國は如何でしたか?
短期留學(xué)はわずか1カ月だったんですが、そこでも様々な衝撃を受けました。その期間、太極拳を習(xí)っていたのですが、英語の通訳で來ている北京大學(xué)の男子學(xué)生がいました。ある日、留學(xué)先の寮から窓を眺めていたら、その學(xué)生がたまたま下を通ったんです。ニイハオとあいさつしたら、僕?というふうに指で自分を指して、その頃は中國語は初心者なのでよくわからなかったのですが、恐らく、何してるの?と聞いてくれたんだと思います。そして、また、明日ねって、ごく簡単なやりとりをして帰っていきました。
翌日、太極拳のレッスンが終わる頃に、彼は遅れてやってきました。本當(dāng)は寢坊して來たくなかったようなのですが、昨日私と約束してしまったので、遅れても來てくれたみたいでした。誠実な人だなと思い、家庭教師をやってもらったりして、交流が始まりました。この學(xué)生もその周りの友人たちも本當(dāng)に優(yōu)秀な學(xué)生で、普段の會話でも、電話番號とか一切メモしないのにすべて覚えていたり、さすがに北京大學(xué)の人は優(yōu)秀だなと感心した覚えがあります。
この青年と様々な會話をする中で、日本で刷り込まれた自分の価値観や常識がボロボロと崩れていくという體験をしました。例えば、人権は大事だ、だから一人っ子政策なんてとんでもないという話をすると、彼はその頃の統(tǒng)計(jì)を具體的に例に出して、人権はもちろん大事だけど、人口が増えることで飢える人が出てくる。その頃の中國では人権よりも生存権のほうがより大事だったから、この政策はとられたんだと説明してくれるんです。それを聞くと私も、確かに人権の前に、生存のほうが大事でこの政策は正しいのでは?という気になりました。
私は刷り込まれた価値観で、民主主義が一番いいと思っていましたが、もう一度改めて考えてみると、本當(dāng)にそうなのだろうか?そういった今まで信じていたものが崩れていくのがすごく刺激的で楽しかったです。こういった交流を通じて、こんなに優(yōu)秀な學(xué)生がいる中國は今後絶対に発展するに違いない、その過程を自分の目で見てみたいと思い本格的に留學(xué)することを考えました。
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