「匠の心」という言葉は、多くの人にとって自分には関係のないなじみのない言葉だったが、李克強(qiáng)総理が5日に行った政府活動(dòng)報(bào)告の中で取り上げられた。ここから中國(guó)社會(huì)が匠の心をぜひとも必要としていることがわかる。「環(huán)球時(shí)報(bào)」が伝えた。
▽職人気質(zhì) 日本の歩み
ステンレスボトルから便座、風(fēng)邪薬、もてなしのサービスまで、中國(guó)人が日本に押し寄せる背景には、日本の匠の心の影がちらつく。
日本の作家?塩野米松さんは、「日本は職人の文化と伝統(tǒng)をもった國(guó)だ。これに親の事業(yè)を子供が受け継ぐ伝統(tǒng)が相まって、日本の企業(yè)は規(guī)模の大小に関係なく、企業(yè)が長(zhǎng)らく存続発展することを願(yuàn)うケースが多い」と話(huà)す。統(tǒng)計(jì)によると、日本には200年以上の歴史をもつ企業(yè)が3100社以上あり、世界一だ。こうした100年の老舗の経営モデルは「規(guī)模の拡大や中味の拡充」を急がず、資本の蓄積や上場(chǎng)?マネーゲームを追い求めず、1つの商品や1つの技術(shù)を磨くことに専念するというものだ。當(dāng)然のことながら、日本人は経営において消費(fèi)者と息の長(zhǎng)い「信頼関係」を築くことを重視する。
日本の老舗企業(yè)の多くはこうやって発展してきた。岐阜県は日本刀の産地で、中國(guó)の鍛造技術(shù)が日本に伝わった後でたくさんの工房が立ち上がり、古代の鍛造技術(shù)を引き継ぎながら各種の刀を次々に生み出してきた?,F(xiàn)在は臺(tái)所用刃物を製造している。ニコンのカメラはレンズに定評(píng)があり、これは第1次世界大戦後以來(lái)、ガラスレンズの研磨を手がけてきたことと関係がある。
▽効率と匠の心はぶつかることがある
品牌連盟(北京)諮詢(xún)株式有限公司の王永會(huì)長(zhǎng)は西側(cè)諸國(guó)の匠の心について、「スイスは腕時(shí)計(jì)で有名だ。スイスの職人たちはかつては教會(huì)の大時(shí)計(jì)を手がけ、その後小さな時(shí)計(jì)や腕時(shí)計(jì)へと発展を遂げた。これは歴史の偶然というものだが、スイスの職人は大時(shí)計(jì)を作る時(shí)と同じように細(xì)心の注意を払って小さな時(shí)計(jì)や腕時(shí)計(jì)を作ってきた。これが脈々と続いてきた伝統(tǒng)だ。日本は資源が乏しく、浪費(fèi)は許されないため、何事にも細(xì)かさを求めるようになった。ドイツとイタリアのプロフェッショナルの精神も匠の心であり、職人は自分の職業(yè)に誇りをもっている」と述べた。
だが職人たちはこれまでずっと歴史の表舞臺(tái)にいたわけではない。工業(yè)化とグローバル化による衝撃を受けて、精巧な手仕事の技術(shù)が減少し失われつつある。塩野さんは著書(shū)「失われた手仕事の思想」で、伝統(tǒng)を引き継ぐ職人の置かれた厳しい環(huán)境を紹介している。
効率重視の現(xiàn)代社會(huì)が匠の心とぶつかるのはある程度やむを得ない。匠の心を尊重する日本でさえ、評(píng)価は分かれる。工業(yè)社會(huì)に突入した日本では、大量生産と高効率を達(dá)成した大企業(yè)しか生き殘ることができず、市場(chǎng)競(jìng)爭(zhēng)の荒波の中で中小企業(yè)が次々に倒産するという現(xiàn)実がある。匠の心が技術(shù)に全身全霊を注いで、他の點(diǎn)をまったく顧みないなら、不景気の時(shí)代にはそぐわないものになる。匠の心が細(xì)かい點(diǎn)にばかり注意を向け、「簡(jiǎn)素であることが最も美しい」という原則を忘れていると考える人もいる。
だが匠の心が工業(yè)大國(guó)で重視されていることには疑問(wèn)の余地がない。日本の機(jī)械式時(shí)計(jì)の製造や精密加工などの分野では、多くの職人が十分な保護(hù)とふさわしい尊敬を受けている。経済という大きな環(huán)境が不景気で、日本の中小企業(yè)の倒産が相次ぐ中、日本のプロフェッショナルたちは中小企業(yè)を保護(hù)し、日本の「中核技術(shù)の発展パワー」を保護(hù)することを呼びかけている。
▽効率の最大化ばかり追求してはならない
米紙「ニューヨークタイムズ」の記者は、製造業(yè)は職人技術(shù)の「兄貴分」だといい、「オバマ政権は製造業(yè)に懸念を評(píng)し、製造業(yè)の再興によりイノベーションを促し、貿(mào)易赤字を減少させたいなどとしているが、まだ一歩を踏み出してはおらず、日々隆盛になる製造業(yè)が匠の精神をかき立てているとも言っていない。匠の精神は米國(guó)の自己イメージである、進(jìn)取の気概に富み、革新に熱心で、どのような製品でも生み出すことができるというイメージを形作る極めて重要な部分だ」と報(bào)じた。
米國(guó)の學(xué)術(shù)関係者は、「米國(guó)の若い世代は手を動(dòng)かす技術(shù)を育てることのできない家庭環(huán)境で大きくなった」といい、前出の記者は、「金融などの分野の給與が高いことが米國(guó)の匠の心を徐々に退行させた原因の一つ」という?!弗楗榨磨蕙蟆工驎?shū)いた社會(huì)學(xué)者のリチャード?セネット氏はドイツに學(xué)ぶことを呼びかけ、「ドイツ企業(yè)は、経済的観點(diǎn)であれ愛(ài)國(guó)の観點(diǎn)であれ、國(guó)內(nèi)で質(zhì)の高い労働者群を育成することの必要性を認(rèn)識(shí)している。米國(guó)にはこのように時(shí)代をとらえる精神が欠けている」との見(jiàn)方を示した。
米國(guó)人の懸念に比べると、中國(guó)の匠の心を求める気持ちはより切迫したものだ。王會(huì)長(zhǎng)は、「匠の心は本質(zhì)的に著実で、よりよいものを求め、1歩ずつ著実に進(jìn)むものであり、実際とかけ離れた高く遠(yuǎn)い目標(biāo)を目指すものではない。中國(guó)企業(yè)は浮き足立つことが多く、利益の最大化ばかり求める傾向がある。かつて海爾(ハイアール)は不良品の冷蔵庫(kù)を破壊して、匠の心を呼びかけた」と説明した。
中國(guó)ブランド戦略學(xué)會(huì)の楊清山會(huì)長(zhǎng)(首席専門(mén)家)は、「匠の心は、実は誰(shuí)もが知っているのだが、なかなかできないというものだ。歐州では、匠の心はよりよいものを追求することであり、こうした心を大切にしてきた。今のような機(jī)械化、電子化、情報(bào)化の時(shí)代にあって、匠の心をより強(qiáng)化し、伝統(tǒng)技術(shù)や伝統(tǒng)文化をしっかり守ることがぜひとも必要だ」と述べた。(編集KS)
「人民網(wǎng)日本語(yǔ)版」2016年3月11日
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