秋の初め、日本で活躍する中國人作家の毛丹青氏が新作「來日方長」を攜え帰國した。白髪交じりで、白いチャイナカラーのシャツを身につけた毛氏は文學者らしい雰囲気を漂わせ、能弁ながら、穏やかな物言いだった。新作の紹介から執(zhí)筆に対する思いやその過程を語ってくれた。それらの話から毛氏の創(chuàng)作や生活の知恵についてうかがい知ることができることだろう。人民網が伝えた。
中日二ヶ國語で書かれた「來日方長」
不変を貫くなかでの新たな試み
「來日方長」は毛氏にとって中日二ヶ國語で書いた第二作目の作品となる。作品のスタイルはこれまでの幾つかの作品と同様、今回も生活や感情の記録となっている。毛氏は、「私は長い間、フィクションではなく紀行文學のスタイルを貫き続けている。なぜなら自分の生活はフィクションをすでに超えており、それは作品として表現するのに十分だからだ」と語った。
作品のところどころに見られる挿絵がこの日本を描く同作品の「日本風」な雰囲気を更に高めている。同作品では、毛氏が自分の幼少期の趣味であり、教壇に立った時のちょっとしたテクニックとして使ってきた挿絵を初めて文學と融合させている。
日本で教育に関わる過程で、毛氏は挿絵入りの教材が學生の授業(yè)に対する集中力を上げる効果的な方法だと知った。また、近年、日本のアニメや手帳などの文化要素が中國で流行していることも、今回の挿絵入り作品の考案につながったという。
今回の作品は日本語學習本として位置づけられている。中日二ヶ國語で印刷されているほか、全文にふりがながふられており、プロによる日本語朗読の音聲ソフトも添えられている。毛氏は「私は日本語の作家として、自分が身に著けた表現方法を自分の文學作品の中で使うことで、読者に學習のチャンスを與えたい」と語った。
日本語での執(zhí)筆16年
「相手の言葉で相手の魂を表現する」
毛氏は外國語で文章を書くことについて、「重要なのは単語をどれほど身に著けたかではなく、どうやって組み合わせるかだ。どうやってその言葉を母語にする人と文章で勝負し、越えるのか。どうやって見たことのないシーンを表現するのか。それにはまず読むことが大事だ。日常生活や風景、人生を読み解くのだ。その國の人の言葉を使って、その國の人の考えや視點、思いを共通の文化の中で描いていく。私は相手の言葉で相手の魂を描寫するが、自分がどこにいるのかを相手には知らせない」と語った。
また、毛氏は自分の作品について「私の作品はたぶん日本語を母語とする人の間では異端だろう」と評価している。その理由として「なぜなら中國語の単語を直接日本語の作品の中に引用しているからだ。例えば、『鶏毛蒜皮(取るに足らないことの意味)』といった言い回しなどがそれにあたる。日本語にはこのような言い方はないが、私は『鶏の毛、蒜の皮』というように書くので、多くの読者は何の意味かわからないだろう。しかし、私が取るに足らないことを表現するときにこの単語を使うことに、読者はとても新鮮さを感じるに違いない。外國語を使って文章を書くことは勇気が必要で、挑戦しつづけるしかない」と語った。
インタビューの中で毛氏は、「日本人や日本文化を描寫するのは自分の知恵を豊かにするため」という観點を常に強調しつつ、「以前は中國は世界の國々を見る立場だったが、今では立場が逆になり世界が中國に注目している。私たち文化人は知識を提供するだけでなく、ある種の知恵も提供しなければならない。その知恵とは、言語の中からくみ取られた、ほかの人を理解することで自分自身を豊かにし、自分を知り相手を知って身に付ける知恵のことだ」と語った。
![]() |
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、寫真の無斷転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn