家族を探すことだけが望みではなくなった「池田澄江」時(shí)代

「今村明子」として13年間日本で生活した後、池田さんにまたも劇的な運(yùn)命の転機(jī)が訪れる。しかも今回は嬉しい進(jìn)展だった。

池田さんはこの日のことをはっきりと覚えていた。1994年12月4日、池田さんの法律事務(wù)所が殘留孤児とその親族を?qū)澫螭苏h明會(huì)を開き、池田さんは通訳としてその場(chǎng)に居合わせた。説明會(huì)が終わり、池田さんはすぐには去らずに、個(gè)別に質(zhì)問などに答え、その後會(huì)場(chǎng)隣のカフェで休憩を取った。

このとき、説明會(huì)に參加していた日本人女性2人が池田さんの前に座り、池田さんに話しかけた。中國(guó)語(yǔ)も流暢だった。池田さんも50年前に中國(guó)で孤児として殘った話や、中國(guó)で育った日々の話をした。すると、2人の女性の妹も當(dāng)時(shí)牡丹江に殘り、李という姓の中國(guó)人に預(yù)けられたと言うではないか。その妹の境遇と自分の境遇が余りに似ていているため、池田さんは養(yǎng)父母の家の周囲の地図も描きながらより具體的に當(dāng)時(shí)の様子を説明した。池田さんの説明を聞き終えるやいなや、2人の女性は興奮した様子で立ち上がり、「あなた私の妹よ」と叫んだ。池田さんは全身鳥肌が立ち、「こんな偶然ってあるの？こんなところで姉に會(huì)えるなんて」と思わず立ち上がったが、北海道の吉川さんの一件が蘇り、すぐに「でもそうとは限らない。以前間違ったことがある」と冷靜になってしまった。

翌日、池田さんはこのことを事務(wù)所の人に伝えると、「本當(dāng)にお姉さんかもしれない」とDNA鑑定を勧められた。運(yùn)命が再び池田さんをからかうことはなかった。17ヶ月と5日後のDNA鑑定の結(jié)果、カフェで偶然出會(huì)った女性は池田さんの正真正銘の姉だったのだ。52歳を迎えていた池田さんは、このとき初めて自分は1944年10月14日生まれで、生みの両親が自分に授けた名前は「池田澄江」だったということを知った。戸籍上では「死亡」となっていたが、今度は「今村明子」は「池田澄江」となった。

池田さんはついに家族との再會(huì)という夢(mèng)を果たしたわけだが、それは最大の願(yuàn)いではない。「確かに紆余曲折を経てついに家族を見つけ、自分の出自を突き止めることができたが、事務(wù)所にある2600人以上もの殘留孤児の案件のうち6割以上が今でも家族を見つけられずにおり、親がつけた名前や生年月日を知らずにいる。まだまだ多くの人が助けを必要としている」と語(yǔ)った。

2005年に中國(guó)のメディアが池田さんの元を訪ねてきて、ある日本人殘留孤児を見つけて欲しいと言ってきた。なんでも、彼は日本に戻ってから中國(guó)の年老いた養(yǎng)父母を見に來ることもなく、日本人孤児に「恩知らず」なやつがいるという噂まで広がっているとか。池田さんはすぐさまその人を探し出し、彼が中國(guó)の養(yǎng)父母に會(huì)いに行くことを手伝った。

「多くの人が殘留孤児の境遇を知らない。當(dāng)時(shí)多くの孤児が言葉も通じないといった原因で仕事を見つけられず、日本政府の月4萬(wàn)から6萬(wàn)円の最低生活手當(dāng)てで暮らし、差別を受け、日本社會(huì)に溶け込めずにいた。しかも、この手當(dāng)てを受ける人は出國(guó)が禁じられており、出國(guó)できるお金があるということは手當(dāng)てなどいらないことになるという理屈で、出國(guó)すれば手當(dāng)てがなくなる。そのため多くの孤児が中國(guó)に戻ることができなかった」と池田さんは語(yǔ)る。